| 早稲田大学 Mさんの就職活動報告です。「悩んで迷ってじたばたしてもいいからとにかく一生懸命やってみてほしいと思う。」という力強いメッセージはどのような活動をしたらよいか分からない人にとって参考になると思います。是非ご一読ください!
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高校生くらいから漠然とではあるが「ジャーナリスト」というものになりたいと思っていた。そのときはただカタカナの職業に憧れていただけか。
大学に入ってからも特にマスコミ関係のバイトをするわけでもなく、それでも3年生の夏頃から第一志望はおそらくマスコミだろうなと思い始めた。字面で憧れていた頃からあまり進歩していないかもしれない。志望動機に曖昧なところを残したまま、「記者」になるのを目標に新聞・テレビを中心とした就職活動を始めた。第一志望は毎日新聞。実家でずっと毎日新聞を購読していて愛着があったからだ。そのときはそれ程出版社を意識していなかった。
11月下旬、日テレ。一次面接で落ちる。
1月、朝日新聞、小学館、フジテレビOB訪問。OB訪問は、ゼミの先輩を中心にお話を聞きに行った。
1月17日 講談社仕事実感セミナー。FRIDAY編集長に「私は張りこみとかやってみたいんですけど、面白い張りこみ方法を教えて下さい」と問うと、「企業秘密です」と即答される。週刊誌の記者って面白そうだとかすかに思い始める。
2月、フジテレビ、テレビ朝日、小学館、ニッポン放送、共同通信にエントリー。テレビ東京、テレビ朝日などに落ちる。
3月、関西テレビ、NHK、新潮社、TBS、朝日新聞、日本経済新聞、文藝春秋、毎日新聞、講談社、電通にエントリーシート提出。フジテレビ、ニッポン放送などに面接で落ちる。
4月3日 日本経済新聞社筆記試験。通過連絡来ず。今さら新聞社の筆記・作文の勉強不足に気付いた。
4月4日。マスコミ志望者にとっては重要な4月の第一日曜日だ。この日は数社の筆記試験が重なる。私も、朝からNHK、関西テレビ、電通の筆記を立て続けに受け、合間に一般企業の面接も入っていたので大変だった。ESを出していた朝日新聞と共同通信の筆記試験もあったのだが、関西テレビが3次だったのでそっちを取ってしまった。
4月はどうしても日程がかぶる。幼い頃から父の週刊文春を盗み読みしていた私は、(文春に行けたら親、喜ぶだろうな…)と考えながらも、文藝春秋の筆記の日は他の企業の面接へ行ってしまう。同じように小学館など数社受けられず残念に思う。
4月8日、NHK一次面接。「あなたには是非NHKに来てもらいたい」と言う政治部記者。(えっもう?)と期待したがここで落ちていた。もう簡単に人を信用しないぞ。
4月9日、携帯電話をトイレに落とす。最近もしかしてついてないかも。何かの前兆なのか。
4月10日、関西テレビ4次。午前中は東京で面接を受け新幹線で大阪へ。関テレは18:45からと手帳に書いてある。まだ16時。ほな、食い倒れまひょーってことで、たこ焼きなどを食べて街をぶらぶら。それにしても18時ってやけに遅い時間だな…。しばらく後に関西テレビの集合場所に着く。が、誰もいない。受付のお姉さんと眼が合うと、「もしかして○○様ですか。面接は16:45からだったんですが…。本日は全て終了しました。」
サーーッ。血の気が引くってこういうことか。「本当に申し訳ありませんでした!」と謝ってから、(やばい、泣きそう)とすぐにその場を去って横断歩道を渡っていた。ふいに「○○様!」という受付のお姉さんの声。わざわざ追いかけてきてくれたのだ。「人事が話を聞くと言っておりますので…明日朝9時にまたいらしてください。」
なんと慈悲深い。だけど明日は第一志望の毎日新聞の筆記試験、電通の面接。このまま大阪に残ればどちらも受けられなくなる。関西テレビのことは忘れて東京に逃げ帰ってしまおうか。
でも、わざわざ追いかけてくれたあのお姉さん、人事部の方のご配慮を無駄にはできない。その夜は、ジトッとした、場末の安ホテルの部屋で、自分の余りにも情けない有様に、もう今回の就職活動は失敗したんじゃないか、やり直したい。むしろ、できることなら21年間の人生始めからやり直したい、とさえ思った。
4月11日、泊まる用意がなかったためコンビニコスメで最低限の準備をして関西テレビへ向かう。後ろめたさから面接もさんざんで、もうここに来ることはないだろうと思った。
東京へ帰る新幹線の中で、第一志望の毎日新聞は秋採用を絶対受けようと考えていた。これまで、大学生活も飲んだくれてばかりだった私なんかがこのまますんなり就職できるわけがない、秋採用、また来年の就職活動も視野に入れて頑張ろうと決意した。
東京に着いて辛うじて不動産会社の最終面接は受けられた。だがやはりその夜の電話は鳴らなかった。
その後の精神状態は最悪だった。TBS、リクルート、商社、これまで頑張ってきた企業に立て続けに落ち、持ち駒はゼロになった。周りの友達は次々と内定を取っていく。就職活動を終えた友達と飲んでいると、「最近いつも飲みの場にいるけど大丈夫?これからどうするつもりなの?」と何度も聞かれた。そこでは強がって「大丈夫だよ!秋採用もちゃんと受けるし、駄目だったら就職浪人するよ。」と言いながらビールを一気し、心の中では(本当、やばいな私。私みたいなやつがきっと失敗パターンだな。田舎に帰ろうか。結婚しようか。相手はいないけど。いや主婦向きじゃないな。とりあえず旅に出ようか。)などと分けのわからないことまで考えるようになっていた。
ただ、結構前にESを提出していた講談社と新潮社が残っていた。どちらも出版大手だ。自分には到底無理な会社だろうが、とりあえず消化しておこうという気持ちだった。
この時期は、受けている会社が少ないので、元々好きだった映画や読書にかなりの時間を割けた。リクルートスーツにもうんざりしてきたのでもう着ないことにした。髪の毛も就活用の真っ黒にしていたのをいつも通りに戻した。今思うと、それまでは就職活動モードにしなきゃ、と意識しすぎて自分らしさを失っていたのかもしれない。
4月17日 講談社筆記試験。漢字の書き取りが難しい。分からないので何個か適当に漢字を作った。見栄えを良くするため、とにかく解答欄を埋めることに専念した。
4月18日 新潮社筆記試験。
4月29日 新潮社一次面接。出版社の面接は初だ。編集者ってこういう人たちなのか、頭良さそうー、と緊張。どうも話が盛り上がらず、敗退。
5月14日 講談社一次面接。新潮社の面接で少しは出版社で何が聞かれるかが分かった。少しはまともに答えられた。
5月22日 講談社二次面接。編集長クラスの人々が5人ほど。どんなノンフィクションを読んできたか、週刊誌各誌の違いなどに答えるが、面接官はどうも納得いかない表情を浮かべている。次々と「どういう時に自分はミーハーだと思いますか」「週刊誌はどういう人に読まれている雑誌なのかは分かっていますか」「おじさんに受ける記事を書くためにはどうしますか」「あまり言うとセクハラっぽくなるのでアレですが、そういうのは大丈夫なんですか」などの質問をされる。おそらく、週刊誌記者にはあるはずの「俗っぽさ」を引き出そうとしてくれていたのだろう。そしてだんだん分かってきた。ただ政治や事件の取材をしたいという真っ当なことばかり言う女の子では駄目なのだ。
5月29日 講談社三次面接。あまりに緊張していたため最初言葉が出てこなくなる。こんなに面接で緊張したのは初めてだ。第2希望をファッション誌にしていたので、おそらくファッション系と思われる面接官に色々と突っ込まれる。昔から、モード誌からストリート誌やギャル雑誌に至るまで広めに読んでいたので何とか答えられた。
「講談社についてはどう思いますか」という質問が来てしまった。苦手な質問。
「えーっと、創業者の野間清治?さんが、阪神大震災の復興で、キングが、すごく、あのう、(歴史的なことを言ってもしょうがないのに…)」「それ関東大震災だろ」「(うわっやばい)はいそうでした。えー、最近は、創業百周年記念事業で、(何だっけ?)」「….…」「そんなことは置いといて、なぜか、講談社に足を運ぶたびにここで働きたいって思いが強くなるんです!!」
自分でも不思議だった。これまで、たくさんの企業から同じような質問をされてきたが、熱意を伝えられたことはなかった。本当に講談社がはじめて、素直に、行きたいという言葉が出てきた。
気持ちが少し高ぶったまま、面接室を出ると、人事の方が声を掛けてくれた。「○○さんどうでしたか。」
名前、覚えてくれてる!しかもちゃんと呼んでくれた。なんて良い会社なんだ。でもここにはもう来れないかもしれない。「き、緊張してうまく話せませんでした…。」眼を見て言えなかった。
6月4日 講談社最終面接。前回、というか毎回絶対に落ちたと思っていたのにまた来てしまった。しかも最終だ。社長、副社長の前でまたしても緊張。ここでは今まで聞かれたようなことを繰り返されただけだった。なんとも予想しがたい。でもすべて終わった。とりあえず、近くにいた子らと護国寺のマックで待ち合わせて、渋谷に飲みに行く。同期になれるといいなあ。
6月7日 最終結果の電話が掛かってくる時間は13時から15時と決まっていた。13時半。そんなに人数多くないんだし、もうかけ終わっているのだろうか。また一からやり直しか。14時近く。布団をかぶってあーちくしょう。そのままベッドから出られずにもぞもぞ。まもなく、「講談社です…」という電話。嬉しくて機械的に「ハイ、ハイ」しか言えなかった。
就職活動中に先輩に言われ、ずっと心に残っている言葉がある。「一生懸命頑張っていれば、必ず自分に合ったところを見つけられる、就職活動ってそういうふうにできているんだよ。」
そんな無責任な。自分に合ったところなんて果たして存在するのか。だってそもそも自分は社会に向いていないんじゃないか。最悪な時期にはそこまで考えた私にも、その言葉は当てはまったと言える。働いてみないと本当のところは分からないが、少なくとも今はそう思える。
自分に合ったところが、考えていたのとは結局違っていても不幸ではないと思う。私も、当初から出版社が頭にあったわけではない。それどころかたくさんの会社を受けているとき、自分は一体何に向いているのか全く分からなくなっていた。記者になりたいけれど、デヴェロッパーでも広告マンでも商社ガールでもいいかもしれないと、それぞれ本気になったりもした。後輩たちには、悩んで迷ってじたばたしてもいいからとにかく一生懸命やってみてほしいと思う。自分らしさだけ失わなければどうにかなる。自分と周りを見てそう感じる。騙されたと思って頑張ってみてください!
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